課題テーマ「室蘭 トッカリショ」第2回 | 初心者向け無料作詞教室「原科香月の作詞の小部屋」友遊コミュニティ

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課題テーマ「室蘭 トッカリショ」第2回

2016年05月23日

トッカリショ2 作詞「トッカリショの伝説」第2回

北海道をテーマとした「課題テーマに挑戦」は、「室蘭 トッカリショ」に決まりました。イメージ画像として、北海道の菻茉さんが撮られた「トッカリショ」をお借り致しました。このトッカリショの作詞ですが、前回お話ししましたように、このトッカリショの物語を作り、それからその物語を歌詞にしたいと思います。

トッカリショ4

この美しいトッカリショを舞台に物語を作るのは、楽しいことです。僅かですが、アイヌのことも少しは調べました。今日、5月23日は仕事が休みですので、早朝から物語を書き始めました。第4章で終わらせるつもりです。まだ第2章までしか出来ておりませんので、今回は第2章までとさせて頂きます。

アイヌのことばや生活については、まだ知識が不十分です。時代考証も出来ておりません。ですが、ストーリーを読んで頂けたらと思います。

創作「トッカリショの伝説」前半

トッカリショ5

初めに

皆さんはご存知でしょうか?今の室蘭市にトッカリショというとても美しい海岸があります。トッカリショとは、アイヌ語で「アザラシがたくさん獲れるところ」という意味です。このことは、アイヌ語に詳しい富田隆さんという方にお教えいただきました。

そのトッカリショには、アイヌの若者のとても悲しい伝説があるのです。そのお話を、今日と明日に渡って、皆さんにお話しさせて頂きます。

まだ、アイヌの人々が自らの居住区をアイヌモシリと呼んでいた、日本人が用いた蝦夷という言葉は、まだ存在しなかった頃のお話です。

 

第Ⅰ章 出逢い

ある日、漁師のセルゲイは、漁釣りからトッカリショの浜に帰りました。今回の漁も海は穏やかで、船の生け簀はたくさんの魚で一杯でした。セルゲイが、岸に船をつなごうとしたその時です。

何気なく漁具を置く小屋に目をやりますと、若い娘が倒れているではありませんか。セルゲイは、初夏の近い浜に飛び降り、娘の元に駆け寄りました。たいそう美しいその娘は、かすかに息をしておりました。

船から魚を取りだすことも忘れて、セルゲイは娘を背負い家に帰りました。セルゲイは母親と妹の3人で住んでいました。母と妹は織物をしておりましたが、とても驚いて、足をさすったり、額に水に浸した布を当てたりと、娘の回復を心から待ち望みました。

次の日の朝、娘の意識が戻りました。暖かい飲み物を口にすると、娘は少しずつ事の成り行きを話し始めました。

娘は隣の村から、トリッショ近くまで山菜取りに来たそうで、初めての土地で山の中で迷ってしまい、数日飲まず食わずで彷徨い続けたそうです。やっと海が見えたので浜に降り立ったのだけれど、そこで急に眩暈がしたのだそうです。そして、そこから先は覚えていないとのことでした。

娘の名はイサエマツと言いました。独身で齢が17歳なのは、彫られた刺青で分かりました。セルゲイの母の「体力が回復するまで、2~3日ゆっくりした方が良い。」との言葉をイサエマツも受け入れ、そうすることに決めました。

海の新鮮な魚や貝などを食べたイサエマツは、若いこともあってたちまち元気になりました。

隣村のイサエマツの家へは、セルゲイと妹のイコレイレマツが送って行くことになりました。それは、セルゲイの母の考えです。セルゲイは、今年20歳になります。イサエマツの親に誤解されないようにとの、母親の知恵でした。

半日も山道を歩きました。途中のどが渇くと沢の水をのみ、懐の煮干しを3人は食べながら歩きました。やっと、イサエマツの家に着くと、イサエマツの父親のアイヤニは涙を流して喜びました。

イサエマツの父親は、娘が帰ってこないので村中の人に声をかけ、探し回ったそうです。ですが、何一つ手掛かりがつかめず、村人の「神隠しに逢ったのだろう。」との言葉を信じ、諦めかけていたとのことでした。

 

第2章 二人の絆

その晩は、イサエマツの家に泊まり、次の朝早く帰ることになりました。

母親はイサエマツが幼い頃に亡くなり、父親のアイヤニがずっと男手一つで育てたことが分かりました。それゆえ、尚更イサエマツが行方不明となり、気が狂わんばかりに探し回ったことは当然のことでした。

イサエマツから、事の真相を聞いたアイヤニは、涙を流しながら、セルゲイ兄妹に感謝の言葉を何度もなんども繰り返し、トノトという稗(ひえ)から造った貴重な酒をセルゲイに勧めました。

翌日、稗のおかゆの朝食が済むと、セルゲイとイコレイレマツは帰る支度を始めました。イサエマツの父親はお土産だと言いながら、鹿やウサギの毛皮をたくさん紐で縛りセルゲイに持たせました。また、セルゲイの母親へも、お礼の言葉を伝えてくれるよう頭を深く下げながら頼みました。

アイヤニは「ぜひ、また近いうちに一緒に酒を飲もう!」と言いながらイサエマツに途中まで送るように命じ、二人を見送りました。

今度は3人で、セルゲイの村に向って山の中を歩き始めました。

妹のイコレイレマツは、二人の少し後を歩きました。イコレイレマツは分かっていました。セルゲイとイサエマツの二人がお互いに好意を持っているということを。

イサエマツは、下を向いて歩いていました。セルゲイは、何か話がしたいのだけれど、何を言えばよいのか言葉が見つからず、ただただ顔が熱くなるばかりでした。

1時間近く歩いてから、イサエマツと別れる場所まで来ました。セルゲイは、やっと重い口を開きました。

「また・・・また遊びに行ってもいい?」

イサエマツは、真っ赤な顔をして頷きました。でもその顔は、別れるのが辛いイサエマツの頬が、陽に当たって濡れているのが分かりました。

それから半月が過ぎたころ、セルゲイは一人でイサエマツの家に行きました。両手には、魚や貝の保存食をたくさん持って。

イサエマツの父親は今度もたいそう喜んで、稗のお酒を盛んに勧めました。イサエマツは、大豆やジャガイモ・大根などの保存食を料理して、大きな皿によそって二人の前に並べました。イサエマツのその顔は、半月前の別れの時と違って、輝いていました。

イサエマツの父親は、幼い頃イサエマツが高い熱を出し、何度も死にかけたことを話しながら涙ぐみました。今一番の望みは、早く嫁にもらってくれる人が現れることだと、宙を見つめながら言いました。

セルゲイはその瞬間、イサエマツの横顔を盗み見しました。イサエマツも同時にセルゲイを見つめ返しました。その澄んだ瞳の奥には、強い願望が秘められていることにセルゲイは気付きました。同時にイサエマツも、セルゲイの自分を見つめる姿に深い愛情を感じ取りました。

娘の命の恩人であるセルゲイをすっかり気に入った父親のアイヤニは、帰りしな「今度は、いつ来る?」と催促しました。

そうしてまた、イサエマツに途中まで送ることを命じ、たくさんのお土産を渡すことを忘れませんでした。

イサエマツとセルゲイは、お互いの心の内を知ることが出来ましたので、今度は会話も前よりはずっと楽にできました。

「イサエマツちゃん、今度お父さんと家に遊びに来ない?母も、イサエマツちゃんのお父さんに会いたがっているから。」

「うん、またセルゲイさんのお母さんの料理が食べたい!私のお母さんが小さいときに死んじゃったので、セルゲイさんのお母さんが、私の本当のお母さんのような気がするの。」

二人は、いつか手をつないでいました。セルゲイの大きな節くれだった指が、イサエマツには頼もしく感じられました。またセルゲイは、早くに母親を亡くなしがらも健気に生きているイサエマツが、抱きしめたくなるほど愛しくてなりませんでした。。二人の繋ぐ手の先には、バラ色の世界が待っているかのようでした。  (つづく)                                     

 

今朝、少し早目に起きて書き始めました。文章の見直しもせずに載せることは、少し早すぎるかもしれません。読み返して不自然な箇所がありましたら修正させて頂きます。まだ「室蘭 トッカリショ」の作詞は始まってはいませんが、完成しましたらすべては北海道の菻茉さんのお力です。必ず完成させますから、菻茉さん見守っていて下さいね。

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