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課題テーマに挑戦「鳥海山」第25回

2017年12月09日

 課題テーマに挑戦「鳥海山」第25回

初めは簡単な物語で済まそうと考えていたのですが、随分と長くなってしましました。「トッカリショの伝説」のように2~3回で済ませてから、作詞の入る予定だったのです。これでは、作詞教室とは言えず、単なる私の我儘のブログでしかないように思えてきました。

皆さまには、あまり面白くない物語で「もういいよ」と仰る方もおられるかも知れません。ですが、もう少しお付き合いをお願い致します。クライマックスはもうすぐです。

自分の人生に後悔しないで、満足して終えられたらこんな幸せなことはないでしょう?ですが、たぶんそういう方は殆どいらっしゃらないのではないでしょうか?私などは狭い世間の中で生き、その中で仕事をしまた結婚し、このままの生き方で良いのかと何度も思ったことがあります。

人生は自分の思うように生きて行けたら、こんな幸せなことはないと思いますが、「人間万事塞翁が馬」と言うことわざがあります。自分が信じた道をひたすら歩いて行くことが、どういう結果をもたらすことになっても、それが一番後悔のない尊い生き方ではないかと思います。

 「鳥海山物語」

 第5章(3回目」 昭和51年6月初め

由美子の話を聞いた信彦は、気落ちしたようなちょっと引きつったような顔を一瞬しました。しかし、信彦は何としてもこのまま終わりたくないとの強い思いから、少しでも可能性を探り出そうと必死で数分の間、目をつぶりながら考え、あるアイデアに辿り着いたようでした。

「由美子さん、由美子さんのこころは良く分かりました。でも、それならどうして僕とお見合いをしたのですか?何か事情があったのでしょう?」

信彦の言葉は、由美子を責めているというよりも、由美子のために力になりたいという善意の想いが感じられる言いかたでした。由美子は、たった2度目の信彦との出会いでしたが、暖かい人情味と誠実な人柄を信じ、これまでの総一郎とのことや母とのいきさつのことなどを正直に話しました。

じっと静かに由美子の話を聞いていた信彦の目頭には光るものがありました。

「由美子さん、良く分かりました。総一郎さんと一緒になれるよう、僕にできることがあったら言ってください。それが由美子さんのためになるなら、悔しいけれど、お役に立ちたいと思います。

でも正直、僕も由美子さんとのこの縁を終わりにしたくはないと思っています。私の人生を二人三脚で生きて行ってほしい人は、由美子さんしかいないと思っているのです。今日で2度しかお会いしていませんが、僕には由美子さんのすべてが見えるような気がしております。神様が、僕に与えてくれた大切な縁だと思っているくらいです。

ひとつ提案があります。今日から3ヶ月の間に、由美子さんは総一郎さんと共に、由美子さんのお母さんや、総一郎さんのご両親の前で二人の決意を表明して下さい。お二人の決意が示され、皆様に認めて頂いたのなら、僕は由美子さんを潔く諦めます。この縁も、単なる神様のいたずらと諦めます。

ですが万が一、総一郎さんのこころに変化があって、お二人にその誓いが守れなくたった時、その時は由美子さん、僕との結婚を前提にお付き合いをして下さい。

これからの3ヶ月の間のことは、由美子さんのお母さんや僕の両親と叔父に上手く話して時間を稼ぎます。また、総一郎さんと一緒になれることを前提に、その辺のところも後から問題にならないように立ち回りますから、心配しないで総一郎さんと1日も早く逢って、この状況を話してください。」

何と信彦は、総一郎との結婚を応援するというのです。でも、総一郎との縁が切れた場合は、信彦を生涯の伴侶として考えて欲しいというのでした。            つづく

 

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