あたしはトイレの清掃員
2019年11月17日
あたしはトイレの清掃員
私が成人式を迎えてから数年経った頃ですから、もう45年近くも前のことです。八重洲に本社がある大きな会社の、港区の支社で働いておりました。
その支社のビルに50歳を過ぎたと思われる女性がひとり、主にトイレ掃除をしておりました。無口な方でしたが、いつも一生懸命働いておりました。私はあまり自慢できる仕事ではないと思っていましたが、その人を決して馬鹿になどしていませんでした。むしろ、私などより仕事に対する誇りを持って生きている、そんな風に感じていました。
トイレの存在箇所は様々です。会社などの建物にある各階ごとのトイレ、マンションやアパートなどの各階の共有部にあるトイレ、駅のトイレ、公園のトイレなど、それはそれは少しオーバーに言えば人の数ほどあるような気がします。
トイレ掃除が好きな人もいるかも知れませんが、基本的には好んで働いている方は少ないのではと私は思ってしまいます。
仕事にはたくさんの種類がありますが、その対価としての報酬も業種ごとに様々です。私の狭い見識では、最低賃金で働く高齢者の方が多いように感じます。年金だけでは食べてはいけず、そして他に働く場所もなく、生活のため必死で働いている高齢者の姿が浮かびます。
数日前、ふと「あたしはトイレの清掃員」という歌詞を作ってみたいと思い立ちました。決してトイレの清掃をされる方を馬鹿にしてではありません。清掃する方を応援しながら、世相も少し取り入れて作ってみたいと思ったのです。
あたしはトイレの清掃員
1番 亭主に先に逝かれたこのあたし
年金だけでは食べられず
古希を過ぎての就いた仕事は
みんなが嫌がるトイレの掃除
あたし平気さ仕事だよ
2番 あたしの仲間あこがれ愛さんは
今年が八十路のお姉さま
背筋伸ばして歩く姿に
まだまだこれからひと花咲かす
そんな意気込み感じます
3番 先輩諸氏の厳しいアドバイス
あたしはいまだに未熟者
そんなあたしに願いあります
済んだら流して下さいませね
頬に染みるのこの臭い
4番 このごろ腰と背中が痛むけど
それでも弱音は吐かないよ
ほめて欲しいのたった一言
あなたのお陰で気分が良いと
それが何よりクスリなの
この作詞のプロセスは、2019年9月7日の第1回目から同月の9月16日の第5回までに記してあります。歌詞4番の最後の行のくすりをクスリと変えました。特に意味はないのですが、私の嗜好の問題です。