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課題テーマに挑戦「鳥海山」第9回

2017年09月18日

 課題テーマに挑戦「鳥海山」第9回

ここ、つくばは晴れています。爽やかな青空と言いたいところですが、表は大分暑そうです。机の隅に冷茶を置きながら、南に向いた部屋の中でパソコンに向かっています。皆さんも水分をこまめに摂りましょう!

今回の連休で、なかなか進まなかったブログを何とか挽回しようと頑張っています。

「鳥海山物語」この先どうなるのでしょうか?とにかく思い付くままにキーボードを叩いています。さっそくアップします。今回は、第2章(1回目)です。

          (画像のタイトルは、「御浜の高山植物と鳥海湖」です)

   鳥海山物語

第2章(1回目) 昭和46年1月

月日は流れ、由美子はもう直ぐ成人式を迎えていました。町の小さな縫製工場も、景気が良くなって来たためか、由美子の毎月の給与も少しずつだけれどが良くなってきています。ですが、由美子は自分の物を買うことは慎しみました。母にそっくり給与袋を渡し、その中から小遣いを貰ってやり繰りしています。

由美子はずっと以前から、その小遣いを節約し預金をしていました。

あの日、十五の春の御嶽神社のことは母に話していませんでした。母のふみ子は、由美子が総一郎とは既に別れたものだと思っているに違いありません。それは由美子が母の言うことに逆らったことが無かったからです。

成人式には、また総一郎が帰って来ます。華やかな場所で二人だけで話をすることは出来ないので、やはり成人式の前後の日に御嶽神社で逢うことになるだろうと由美子は心待ちにしていました。

毎月の小遣いの中からの預金は、総一郎に暖かいマフラーと綿の手袋を買うためのものでした。そのためには、欲しかったネックレスやブローチも諦めました。

成人式の2日前、いつもの同級生の男がまた総一郎の手紙を母のいない時間を見計らって届けに来ました。由美子の予想した通り、御嶽神社で逢いたいとのことでした。成人式の次の日を指定していたけれど、由美子に問題はありませんでした。

御嶽神社で逢ってからは、総一郎とは正月とやはり夏休みの8月に何度か逢っていました。時々は境内で人を見かけることはありましたが、高齢の人ばかりで、とりたてて二人を注視する者はおりませんでした。

その総一郎は既に大学生になっており、東京の大学の近くにアパートを借りて学業に専念していました。遠い首都東京に、由美子も憧れの気持ちは少なからずあったことは事実です。

ですが、今回の御嶽神社での逢瀬に悲しい出来事が待っていることに、由美子は嬉しさばかりで気付くはずもありませんでした。                       つづく                                                                

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