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課題テーマに挑戦「銚子港」第19回

2023年11月13日

 課題テーマに挑戦「銚子港」第19回

今日は新聞が休刊です。ですので昨日の某新聞社の朝刊から、少し思ったことを書かせて頂きたいと思います。辛い事と明るい話題の二つです。

先ず、イスラエルがパレスチナ自治区ガザ最大のシファ病院など市の主要な病院周辺で激しい攻撃を行い・・とあります。病院の地下にイスラム主義組織ハマスの拠点があるための攻撃のようです。ですが、住民をまして子供を巻き込むことだけは、絶対に許すことは出来ません。世界が、仲裁に入るべきです。

もう一つは竜王戦の話しです。藤井聡太八冠が、一昨日11日に伊藤匠七段にシリーズ4連勝し竜王を三連覇しました。それは八冠初防衛でもありました。

これから、藤井八冠による将棋界独走かと誰もが信じていると思われます。ですが今回の伊藤七段を始め、若い棋士が憧れの藤井八冠に挑もうと日夜研鑽しています。藤井八冠が、ずっと安泰と断言することができるでしょうか?

昨日はつくばは雨模様でした。「想い出の銚子電鉄外川駅」(第12話)をほぼ書き終えましたので、今日のブログに載せる画像を撮りに車で近辺を回りました。

筑波山は雲に覆われていましたが、少しだけ姿を見せてくれました。

 

近くの神社の紅葉がきれいでした。

 

小さな木に鈴なりの柿の実でした。

 

椿かと思いましたが、葉のようすから山茶花と確信しました。

 

丈が30㎝くらいでしたが、鳥の形のような可愛い花でした。

 

雨の日のほうが、より美しく見せてくれる花もあるのですね。因みに一番下の花の名は、ハナノナによりますとチェリーセージとのことです。

  物語 想い出の銚子電鉄外川駅(第12話)

【洗足池での出来事】

私は、由香里さんに手紙を書いた。

こんにちは。由香里さん、暫くぶりです。お元気のことと思います。

もう萩は夏真っ盛りなのですね。東京は、まだ梅雨が明け切らずに、紫陽花だけが喜んでいます。

由香里さんが、萩に越されてからもう一月にもなるんですね。

由香里さんが宮内不動産を辞められて、皆が寂しがっております。もちろん私もそうです。朝、事務室に入り席に座ると、由香里さんはいつも熱いお茶を出してくれましたね。

朝の由香里さんのお茶が、その日の活力の源でした。頑張ろうという気が湧いて来ました。

また、暑い日に帰社すると、今度は冷たいコーヒーを出してくれました。火照った身体が生き返るようでした。

「今時、若い女子社員にお茶を出させるような会社はない。由香里さん、もう明日からは各自でやることにするから、もうしなくてもいいのよ」

と、谷口社員がある日みんなの前で言っていたことを思い出しました。でも、次の日も、いつものように爽やかな香りのお茶を出してくれましたね。嬉しかったです。美味しかったです。

でも、由香里さんが辞められてからは、自分で給湯室に行き、自分でお茶を入れました。由香里さんが使っていたお茶の葉と同じでしたが、何とも味気のないお茶で、由香里さんの有難みを今更ながら痛感した次第です。

話しは変わりますが、まだ二十歳前の私が生意気かもしれません。

人には定めのようなものがあるような気がします。由香里さんの手紙を読んで、私は涙を流しました。由香里さんの気持ちがとても嬉しく、出来ることなら私も萩に行きたいくらいです。

ですが、正直に申し上げます。私には、交際をしている同郷の人がいます。そうです、銚子の女性です。今は、この東京の大学で学んでいます。高校生の時に同じ新聞部で知り合い、何か意気投合して付き合い始めた人です。

私は将来結婚を望んでいますが、人の明日の運命は分かりません。

由香里さんが、いつか萩から東京に戻られる日は来るのでしょうか?

もし戻られることになりましたら、また宮内不動産に入られてくださいね。由香里さんも聞いたかと思いますが、社長は「いつでも、戻ってきて欲しい」と願っています。

いつかまたお会いできる日が来ることを楽しみにしております。

最後に一つだけ付け加えさせて頂きます。東京駅の新幹線のホームでお見送りさせて頂いた折に、一瞬でしたがお父様と弟さんを見ることができました。とっても仲の良い、労わり合えるご家族のように思えました。

異常気象のせいで、今年も猛暑の日が続くようです。

由香里さん、どうか皆さん共々健やかに、そして幸せに過ごされますよう、蒲田からお祈りしております。                            宮内 翔太

私は会社近くのポストに手紙を投函すると、大きく深呼吸をした。人の出会いにも定めがある。もし、美咲ちゃんとの交際がなければ、私は由香里さんとの交際を真剣に考えたと思う。だが、一度心に決めた人を裏切ることは出来ない。

由香里さんのことは、もう忘れることにした。

それから数日して、私の携帯に美咲ちゃんから電話が入った。

「ねえ、翔ちゃん?私、美咲。今度の水曜日なんだけど、私、午後から時間が空いたの。もし、翔ちゃんが特に用事がないなら、どこかで久しぶりに会いたいなと思って」

私は、由香里さんの件でまだ気分が晴れていなかった。嬉しくなって、直ぐ同意した。

「美咲ちゃん、用事なんか何もないよ。どこで会う?少しは東京が分かるから、どこでも大丈夫だよ」

私の声は弾んでいたと思う。美咲ちゃんも元気そうだ。

「じゃあね、ええと。そうだ!池上駅の近くの本門寺を散策しない?それから、池上駅線で洗足池まで足を延ばそうよ」

美咲ちゃんは、随分と時間の余裕があるようだ。

何処でも大丈夫とは言ったものの、本門寺など聞いたこともない。まして洗足池など見当も付かない。

少し、恥ずかしくなった。

「ごめん、本門寺って、初めて聞いたんだけど。それに池上駅も知らないし、もちろん洗足池も知らない」

美咲ちゃんは電話の向こうで、ため息をついていたかも知れない。

「少しは東京が分かるって言ったばかりじゃないの。じゃあ、こうしましょう。私が大森駅に2時に着くようにするから。大森駅の東口で待っていてね」

美咲ちゃんは何でも知っている。それとも、この私のために調べてくれたのかも知れない。とにかく、水曜日が待ち遠しくなった。だが、着て行く服はどうしよう?いつもは会社には白の半そでのワイシャツだし、ズボンは紺色と茶色の二本しか持っていない。

私は、美咲ちゃんに、少しでも東京の人と同じように見られたい。銚子にいる時は、特に洋服のことなど意識したこともない。

考えた末に前に由香里さんと行った蒲田駅ビルに直結した、紳士服売り場に行ってみることにした。由香里さんと一緒に歩いたのは、もう2ヶ月近くも前になるが、まだあの時の彼女の緊張した姿が目に焼き付いている。私は少し感傷的になってしまったと思い直しながら、紳士服売り場を覗いて見た。

会社に行くのではない。好きな人に会いに行くのだ。野暮な姿だと思われたくない。

私は水色のポロシャツと夏用の生地の薄茶色のズボンを買った。裾の長さが合わなかったので店員の「1時間後には裾上げをして置きます」という言葉に、今度は靴屋さんに向かった。いつもの黒の革靴では、何かしっとりしない。カジュアル系のやはり薄茶色の靴を買った。少しお金を使い過ぎたような気がしたが、美咲ちゃんとのデートのためだ。お金を惜しむのは情けない。

こうして、取り敢えず美咲ちゃんとの本門寺&洗足池でのデート用の服を揃えることが出来た。

美咲ちゃんと会う日の午前中は、アパートの近くにある理容室で、髪を切り顔を剃って貰った。これで安心だ。私は既に田舎者ではない。自信を持って美咲ちゃんと会うことが出来る。

約束の水曜日の午後2時前に、大森駅東口のタクシー乗り場付近で美咲ちゃんを待った。

美咲ちゃんは少し遅れて、薄緑色の生地に可愛い花模様があしらわれたワンピース姿だった。

「翔ちゃん、暫らく!どう元気だった?」

美咲ちゃんは雰囲気が変わった。大人の女性になったような気がした。

「美咲ちゃん、何か都会の人になったような気がするよ。少し、眩しくなっちゃった気がするよ」

私がお世辞抜きで言うと、美咲ちゃんは満面の笑みで「そう?アハハ」と笑って歩き出した。東急バス池上駅行きに乗った。私が生まれ育った銚子とは全く違う。銚子では、この時間帯にはバスは1時間に一本位しか通らない。それがどうだ。2分も待つと、もう次のバスがやって来る。

田舎の交通事情は人口減少の影響かと思うけど、私の田舎の銚子電鉄は赤字で存続の危機に陥っている。それは銚子のみではない。いつか新聞で読んだ情報だけど、北海道の留萌線他、また東北などでも各列車が廃線の危機に見舞われているようだ。

それはバスも同じのようだ。地方の脚がどんどん失われていく。高齢者の外出は、これからどんどん困難な時代になりつつあるような気がする。高齢者が事故を恐れて免許の自主返納をしたりすれば、生きてはいけるのだろうか?

話が逸れたが、バスの中は十分座る余裕があった。私と美咲ちゃんは並んで座った。美咲ちゃんからはとても良い香りがした。香水?オーデコロン?私には、その意味も違いも分からない。

10数分乗っただろうか?池上本門寺前で降りた。

総門の前に立った二人は、正面に向かってうやうやしく頭を垂れた。

本殿に向かうには、総門から此経難持坂の九十六段の石段を登らなければならない。私は美咲ちゃんの手を引いて階段を登った。私は嬉しくて軽やかに階段をのぼったのだが、美咲ちゃんはもう少しで登り終えるという頃に息を切らした。

仁王門から本殿に向かう途中、大堂の少し先にお休み処があった。私は美咲ちゃんに言った。

「美咲ちゃん、ちょっとここで休もうよ。喉も乾いたし」

二人でテーブルに座った。美咲ちゃんが目の前にいる。大森駅で会った時には大人びて見えたが、外川漁港や飯沼観音でデートした時と何も変わってはいなかった。ただ、今日の美咲ちゃんは口紅を塗っている。それが、とても成人した女性に写ったのだ。美咲ちゃんは、私の目から見てもとても魅力的な女性だ。普段気になっていることを尋ねた。

「美咲ちゃん、授業以外ではどんな生活をしているの?」

美咲ちゃんは、あんみつに入ったサクランボを嬉しそうに口に運んでいた。美咲ちゃんの顔を良く見ると、前より頬が少しふっくらして見える。同じアパートの住人で確か小野裕子という人と仲が良く、食生活も共有しているのかも知れないと私は思った。

「サークルに入っているの。それも二つのサークルに入っているの。だから忙しいし、時々人間関係で煩わしいことも良くある。でも、それを恐れていては前には進めないと思って、何とか頑張っているけど」

高校卒の私には大学のサークルと言われても何のことかが分からない。美咲ちゃんの二つのサークルについて私に大雑把に教えてくれた。

ひとつ目は、LLSと言い、救命・救急を学ぶサークルとのこと。美咲ちゃんは、主に勉強会と救護ボランティアを頑張っているそうだ。みんなで救急や看護に関する知識と技術を日々深めようと努力していて忙しそうだ。また、重要なACLSやPTESについても学んでいるとのこと。救護ボランティアは、マラソン大会の救護スタッフとして活動し、学びを実戦で活かしたり、救護の実際を経験する機会としているとのこと。

もう一つは、ナイトフレンドいうサークルだという。簡単に言うと大学病院小児科病棟の学生ボランティアのことだという。端的に言えば、面会者のいない小児の遊び相手になったり、患者の子どもが寝付くまでベッドの側で付き添ったりするのだそうだ。それだけではなく、小学生以下の子どもは親と一緒の見舞いでも病室に入れないため、ロビーで孤独な時間を過ごすことのないように、親の面会が終了するまで一緒に過ごすのだそうだ。

私は、美咲ちゃんの話しを聞いてもピンと来ない。具体的なイメージが湧かない。幼いころから父の漁船に乗り、病気知らずで育って来たためか。

とにかく、美咲ちゃんが忙しいことが分かった。また時間を惜しんで貴重な大学生活を、悔いのないよう必死で生きていることも分かった。

私も甘いものが嫌いではない。美咲ちゃんと一緒に食べたあんみつは最高に旨かった。だが、一人で食べることはないと思う。美咲ちゃんと一緒だから美味しいのだ。

休憩後、本殿に向かった。それぞれの財布から50円玉を取り出して賽銭箱にそうっと入れた。二人は合掌してお祈りをし、お辞儀をした。

いつだったろうか?確か、今と同じ事をした記憶がある。あっ そうだ!銚子電鉄で観音駅から歩いて飯沼観音に行った時だった。今日も同じように50円玉を賽銭箱に入れた。私たちが入れた金額の意味は「ご縁(5円)が10倍ありますように」という意味だった。

本堂を参拝し、辺りを散策した後、美咲ちゃんが言った。

「洗足池に行くのが遅くなってしまうので、そろそろ池上駅に行きましょう!」

私はもちろん美咲ちゃんの言うことには素直に従う。好きな人の言う事なら、何でも気持ちよく受け入れられる。

私と美咲ちゃんは総門を出て池上駅に向かうため、また此経難持坂の九十六段の石段を降りた。転ばぬようにゆっくり降りた。降り切ったところで、本堂の方に向き直り深くお辞儀した。

総門から池上駅は直ぐだ。駅も近代的な建物だった。やがて、洗足池に向かう池上線の車中の人となった。

昔、「池上線」という歌が流行ったことがある。西島三重子だったか、何度も聞いたことがある。確か「すきま風に 震えて」という言葉が入っていたかと思うが、私と美咲ちゃんが乗った池上線は近代的なとても快適な電車だった。あの歌詞に出てくる池上線の車両は、多分昭和の終戦後に作られたものかなと思う。

池上駅から数えて6つ目が洗足池だ。車内の掲示板を見て知った。美咲ちゃんは、既に来たことがあるのだろうか?

「美咲ちゃん、洗足池に前に来たことがあるの?」

私の問いに笑って答えた。

「サークルの友達が以前来たことがあるって聞いただけ。私も初めてよ」

洗足池駅から住宅街を10分くらい歩いただろうか。緑の木々に囲まれた洗足池が見えて来た。近くによると池の周りには散策用の道路が整備されており、高齢者が数人でのグループ、もしくは一人で散歩をしている。主婦と思しき人も可愛い小さな犬と散歩していた。また、また、若い学生風の男女が一緒に走ったりしている。

私は、美咲ちゃんと手をつないで歩いた。今日は曇り空だが、二人の手に汗が滲んだ。

「美咲ちゃんは、あそこに橋が見えるよ。行ってみない?」

私たちが歩いて行く先に、山口県岩国市にある錦帯橋にちょっと似ている木製の橋が掛かっていた。私と咲きちゃんが橋の上に立った時涼しい風が頬を撫でて行った。因みにこの橋の名は「池月橋」ということだ。

「ああ、いい気持ち!普段は、コンクリート囲まれての生活だから、今日はとっても嬉しいわ。何と言っても翔ちゃんと一緒だしね。今日は、ありがとうね」

美咲ちゃんのさっきまでの赤く上気した顔が、涼風でいつもの爽やかな素顔に戻っていた。画像で見ていた洗足池はかなり広いと思っていたが、案内板には周囲1.2kmとある。更に案内板を良く見ると勝海舟のお墓があると言う。

勝海舟は官軍の代表西郷隆盛と池上本門寺に置いて会談した折、その帰り道に寄った洗足池の茶屋で休息し、すっかりこの池の美しさに感動し傍に別邸を建てたのだそうだ。別邸は戦後焼失し、お墓だけが残されたとのこと。

美咲ちゃんと早速行ってみた。明治維新において名を遺した人のお墓だけあって立派な墓だった。勝海舟の妻たみも後に合祀されたそうだ。

洗足池を心行くまで堪能した二人は、ふと辺りが夜の帳が降りようとしているのに気付いた。既に数組の親子が浮かべていたボートの姿はなかった。辺りにいた人々の姿も見えなくなっていた。

厚い雲に覆われていた筈だった空は、いつの間にか西の空に夕焼けの余韻が残っている。少し離れたところにある街灯が、大きな樹木と共に闇に包まれている2人を浮かび上がらせている。

胸の鼓動が激しくなるのを感じながら、美咲ちゃんとつないだ手を私はやさしく引き寄せた。美咲ちゃんは私の引く力に無抵抗で私の胸に体をあずけた。

私は美咲ちゃんの体を両腕でやさしく抱きしめた。美咲ちゃんは少し震えながら、目を閉じている。私は、そっと美咲ちゃんの唇に自分のそれを重ねた。

美咲ちゃんの唇はとても柔らかく甘かった。美咲ちゃんの両腕が私の腰に回った。

私の心は幸せで溢れた。美咲ちゃんの唇から顔を離し、美咲ちゃんの瞳を見つめて私は言った。

「美咲ちゃん!愛しているよ。大好きだよ。」

美咲ちゃんは両腕に力を込めて、私の愛に応えてくれた。

私は再び美咲ちゃんと唇を合わせた。

私はこの幸せが永久に続くと信じ、美咲ちゃんを強く抱きしめた。            つづく

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