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創作の小部屋「独居老人のひとり言」第12回

2019年04月11日

 「独居老人のひとり言」第12回

上の画像は、高知県安芸市の「菜の花と野良時計」です。この野良時計は、明治20年ごろ、この地の地主だった畠中源馬氏が、10歳の頃父に買って貰ったアメリカ製の八角時計を分解しては組み立て、その構造を理解し、すべての部品を手作りで作り上げたそうです。近隣の農民はこの時計で時を知り、生活上とても言葉では言い表せない程の恩恵を受けたそうです。

  「独居老人のひとり言」第12回

第11章 偶然の出会い

無職の私は、相変わらず預金を取り崩しながら生きている。節約をしようと思えば、多少生活費を切り詰めることは出来るだろうと思う。冷暖房費等の電気代やガソリン代、また食費も少しは切り詰めることが出来そうだ。

話しは逸れてしまうが、私が派遣の仕事をしていた数ヶ所の職場で見た、少し驚いた昼食代他の節約法を幾つか紹介させて頂く。

○40代女性 独身  昼の弁当は季節に関係なくうどん。大量に茹でて小分けしてラップに包んで冷凍保存。つけ麺的な食べ方で、昨夜の残り物の僅かな副食での昼食。米の弁当より節約できるという。

○40代男性 独身  築数十年の戸建アパートで独り暮らし。下水が完備されておらず、毎朝近くのコンビニのトイレにて用を足す。風呂は殆ど入らない。顔が光っていた。

○30代男性 独身  お昼は弁当を持参。おかずは毎日同じ1品だけで、ご飯の上に乗せてある。天麩羅のようだが、自分で作った物で、作り置きして冷凍庫で保存しているらしい。別の職場でも、全く同じような弁当の男性がいた。

○30代男性 独身 昼食はスーパーで買ったカップ麺におにぎりかパン一つ。大盛りのカップ焼きそばの時はおにぎりなし。カップ麺等はスーパーでの特売日に買いだめしておくとのこと。

昼食のことが多くなってしまったが、当然のことながら朝食と夕食時はお互い別で知る由もない。上記の人は皆独身である。当然、食事代は節約できそうだが、健康にはあまり好ましくないような気がする。

私も食事代を見直す必要があると感じている。スーパーで買い出しをして自分で作ることもあるが、どうしても面倒になってしまうことが多い。最近は、スーパーでの出来合いの総菜を値段が下がる時間を見計らって買いに行くことが多くなった。また、外食をしてしまうことやコンビニ弁当に頼ってしまうこともある。また、酒代とつまみの費用も考えてみると馬鹿にならない。

余り節約のことばかり考えるとネガティブになり生きる気力が萎えてしまうので、そのうちまた何か職を探すことにして話を先に進めようと思う。

パソコンの勉強会は、毎週水曜日の午後2時から4時までの2時間であるが、途中20分の休憩を取っている。この時間は、誰という訳ではなく持ち寄った茶菓子を食べながら、自動販売機で買ったペットボトルのお茶を飲みながら雑談に花が咲く。もちろん携帯用ポットを持ってくる人もいる。

殆ど還暦を過ぎた人たちばかりなので、健康問題の話題が多い。膝や腰が痛む、僅かな段差につまずく等、話は尽きることがなく20分の休憩時間はあっという間に終わる。

パソコン仲間には、連れ合いを死別や離婚などで失くした人が何人かいる。当然私もその一人である。ある日の休憩時間に、食べ物の話になった。どこの店が安いとか、何時ごろになると値段が下がるとか、皆自慢げに話した。

その時、誰かが私に質問をした。

「小松さんは、自炊しているんでしょ?食料の買い出しはどうしているの?」

私はありのままを話した。基本的には、週2回○○スーパーに行くこと。夜8時頃に行くと惣菜の値段が安くなっているので、出来合いの総菜で済ませることが多くなってきたこと。時々はコンビニ弁当や外食することもあること等。

それから、次の週のことだった。私が、いつものスーパーで8時過ぎに食料品の買い出しに行った時のことである。惣菜売り場で、イカの天ぷらにしようか鯵のフライにしようかと迷っている時、ふと後ろから私を呼ぶ声がした。

「あら、小松さん!今から夕食ですか?」

振り返ると大川さんが、カートにマイバスケットを乗せて立っていた。私は少し恥ずかしそうにうなずいた。大川さんがこのスーパーで、この時間に買い物をするとは知らなかった。     つづく

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