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創作の小部屋「独居老人のひとり言」第16回

2019年04月20日

 「独居老人のひとり言」第16回

もうすぐ10連休です。海外に行かれる方も多いとのことですが、皆さんはもう既に予定を立てられたのでしょうか?国内ではこの時期、どこへ行っても混雑することでしょう。私も子どもが幼い時は必ず泊りがけで旅行に行きましたが、道路が渋滞し予定の宿泊先に着くまでは大変でした。

さっそく「独居老人のひとり言」に入ります。

  「独居老人のひとり言」第16回

15章 初めての献立

その晩、私は息子の嫁から送ってもらった『高齢者のための季節の献立集』を大川さん用に1部コピーをし、少し早目にスーパーに向かった。大川さんがいつも駐車する辺りに車を止めて待った。

少しすると、大川さんの車が近づいて来た。車を降り、マイバスケットとカバンを持ち、私の車に向って歩いてきた。

「ごめんなさい。待ちました?」

私は窓を開けて、今来たばかりですと言った。私は車を降りて、助手席に座って資料を見て欲しいというと、分かりましたと言い、私の隣の座席に腰を降ろしてくれた。

「これが息子の嫁が送ってくれた千葉県の『高齢者のための季節の献立集』です。とても良く出来ていたので、大川さんにも1部コピーを取って来ました。これがそうです。どうぞ!」

私が室内灯を二つ点けると、大川さんはさっそく献立表全体をめくりながら少し考えるような表情をした。それから今日の予定である4月の2週目12日の献立表を開きながら、私に言った。

「小松さん、小松さんがおっしゃるとおり良く出来た献立表ですね。この献立表からは、自分のお父さんやおじいちゃんを想いながら作られたような優しさを感じます。作られた方の真心が感じられます。

ですが、ほとんど料理が初めてという高齢者には、いきなりこの献立表通りに作ることは難しいと思います。今晩のメニューは、ツナチャーハンとコンソメスープ、それにじゃがいもとキャベツの甘煮ですね。

今回は、お電話で約束したとおり『じゃがいもとキャベツの甘煮』を作る材料と調味料を買いましょう。作り方は、私がメモして来ましたので、お家に帰られてからやってみて下さい。」

大川さんは自分の買い物を後回しにし、「じゃがいもとキャベツの甘煮」の材料を探し始めた。その前に、私の家にある材料と調味料を尋ねた。そして、キャベツ・にんじん・シイタケと、調理用の酒・みりん・オリーブオイルを籠の中に入れた。私はただ、大川さんの後をついて回った。少し、財布の中身が気になった。

「初めは、調味料などお金が掛かりますが、長持ちしますから、結局安い買い物になります。それから、余った材料はしばらく持ちますので、他のメニューにも使えるので大丈夫ですよ。」

買い物が終わると、大川さんはバックを開けて、二つに折った紙を取り出した。作り方のメモ用紙だった。大川さんはスーパーの入り口の明るい場所で、メモを私に見せながら説明してくれた。一通り説明が済むと、大川さんは「頑張って下さいね。」と、再び店に入って行った。今度は、自分の買い物をするために。

私は家に着くとさっそくスーパーの袋からすべてを取り出し、調理に取り掛かった。時間は、午後9時近くになっていた。メモを見ながらなので、出来上がったのは10時を過ぎていた。ご飯を電子レンジで温め、「じゃがいもとキャベツの甘煮」で遅い夕飯を摂った。これだけではタンパク質が不足するとのことで、豆腐も一緒に食べた。

初めて作った「じゃがいもとキャベツの甘煮」は正直美味しいとは言えなかったけれど、慣れれば私もパソコンのように腕を上げることが出来ると確信した。          つづく

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