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課題テーマに挑戦「金沢市」第17回

2020年06月20日

 課題テーマに挑戦「金沢市」第17回

昨日は雨でしたが、今日のつくばは晴れています。裏の畑に植えたキューリ、トマト、ナス、ピーマン、パプリカ、しし唐、カボチャなどの野菜の苗が喜んでいるようです。家庭菜園も土作りから、肥料選び、そして植えた後の成長に合わせた剪定など、けっこう難しいことがあります。ナス、ピーマン、キューリはあと数日もすればいくつか収穫出来そうです。下の画像はキューリとインゲン豆です。

早速ですが、課題テーマ「金沢市」の物語『夕香金沢ひとり旅』第3回に入ろうと思います。今まででしたら物語が勝手に頭の中に浮かび、パソコンへの入力が間に合わずに焦ることが多いのですが、今回はいつもと違い浮かんで来ないのです。無理に考えて進めている状況です。これではあまり質の良い作品になるとは思えませんが、何とか立て直したいと思っています。金沢に纏わる画像は、金沢観光協会さまの「金沢旅物語」からお借りいたしました。

  夕香金沢ひとり旅 第3回

第3章 ひがし茶屋街

突然、携帯のアラームが鳴った。それは夕香が金沢駅到着5分前にセットしておいたものだ。慌ててアラームの音を消した。車窓の外は既に夜の帳が下りようとしていた。

北陸新幹線「かがやき533号」が東京駅を出発し、早や2時間半を経過しようとしていた。「かがやき533号」はとても快適だった。普段は読んだことのない週刊誌を膝の上に置いたまま眠ってしまっていた。もう数分で金沢駅到着である。

金沢駅に着いたらまず予約しておいたホテルに荷物を置き、和風レストランで食事をすることに決めていた。食事の後は、金沢駅東口から出ている「金沢ライトアップバス」に乗り「ひがし茶屋街」を散策するという嗜好であった。

北陸新幹線のホームを降り改札を出て、おもてなしドームに入った。目の前には、ライトアップされた鼓門がくっきりと浮かび上がっていた。鼓門は厳かに輝いていた。新鮮な驚きだった。この鼓門のライトアップは平成18年の12月からのようで、確かに中学生の頃の記憶にないのは当然だった。

しばし佇み見とれていたが、鼓門を過ぎて数分の所にある夕香には少し贅沢と思えるホテルに入りチェックインした。
部屋で少しの間寛いだ後、ネットで予め席及び加賀料理を予約しておいた、ホテルから歩いても僅かな距離にある和風レストランに向かった。女一人で入るには多少の勇気が必要ではあったが、加賀百万石の街の中心である。恐れることは何もなかった。

この和風レストランでは金沢港直送の海鮮が有名であった。店に入り名前を言うとウェイターは直ぐ席に案内し、予約の加賀料理の確認をすると「直ぐ、お持ち致します」と言い奥に返した。確かにウェイターは待たせることなく、日本海で獲れたヒラメや鯛などの刺身の他食べきれないほどの椀物と汁物を端的な説明と共にテーブルに並べた。夕香は金沢おでんの王様「カニ面」もオーダーしたいと思っていたが、目の前の料理の豪華さに圧倒された。ただ「カニ面」には時期が早すぎた。食後には、抹茶とモンブランのセットを注文した。

(下の画像は、加賀料理とカニ面です)

※ カニ面はズワイガニのメスである“香箱ガニ(こうばこがに)”の甲羅の部分にカニ身や内子・外子を詰めたおでんダネです。石川県のカニの解禁日は毎年11月6日で、香箱ガニの漁期は12月29日までと僅か2ヵ月未満です。

食前酒として頼んだ日本酒も美味しく、そのせいか悩みを抱えた夕香にも食欲が戻って来た。少し食べ過ぎたと思った。それでも大分残してしまった。普段、大学では食事の時間も不規則になり、学食で麺類などで済ませることも多く、今日の料理は自分には不似合いだと思ったけれど、滅多にないことなのでつい「金沢の食」を堪能してしまった。食後の予定の「金沢ライトアップバス」は、19時から15分おきにバスターミナル7番乗り場から運行している。少しお腹が重たいような感じがしたが、バス停まで歩き「金沢ライトアップバス」を待った。5分も待たずにバスはやって来た。

乗車客は意外に少なかった。煩わしい世間から逃れてきた夕香には、誰からも干渉されることなく自由に歩きたかったので、何かホットした。幾つかのバス停を過ぎると、「ひがし茶屋街」のある橋場町バス停に着いた。夕香と還暦を過ぎたと思われる夫婦だけが共に降りた。
5~6分も歩いただろうか?あまり広くない道を挟んで両側に2階建ての木造の建物が続いている。「ひがし茶屋街」である。

江戸時代、金沢城下町近郊を流れる犀川・浅野川両界隈に多くの茶屋が立ち並んだという。1820年頃、犀川西側に「にし」の茶屋町、浅野川東側に「ひがし」の茶屋町が共に開かれ大いに賑わったという。その歴史を感じさせる佇まいも、今では伝統工芸品を販売するショップが立ち並び、町家カフェには種々の飲み物やスイーツまでも揃っている。

その中のどの建物一つをとってみても、華やかさの陰で、その割合は分からないが、貧しい農村に生まれたが故の悲しい女の涙と、狭い視界の中での男への愛憎が沁み込んでいるような、或いはまた許されない恋に悩む女の切なさなども滲んでいるような、そんなやるせない想いに一瞬囚われた。

夕香は、将来のことで悩んでいた。
     ― 私はなぜ博士号を取りたいのか?私の生きる目標とは何なのか? -

                                      つづく

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