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課題テーマに挑戦「恋路ヶ浜」第4回

2021年02月21日

 課題テーマに挑戦「恋路ヶ浜」第4回

今日のつくばは、春のような穏やかで暖かい日差しが降り注いでいます。

アイキャッチ画像は恋路ヶ浜に咲くハマユウです。とても可憐な花ですね。夏に咲き、日没前後から強い花の香りを放つそうです。ですが、それはとても良い香りとのことです。

  恋路ヶ浜 第4回

今回で、課題テーマに挑戦「恋路ヶ浜」は第4回となります。前回申し上げましたように幾つか思い浮かんだ「ことば集め」を披露したいと思います。

【恋路ヶ浜】ことば集め

菜の花の香りに誘われ 母と歩いたこの浜辺

ああ~私のふるさと 恋路ヶ浜よ

あなたと燥いで 素足で走ったこの浜辺

目を閉じ想う故郷の波の白さよ

あなたを追いかけ素足で遊んだこの浜辺

ふるさとを離れて幾年月か

うるわしい私の故郷 恋路ヶ浜よ

時代(とき)は移れど変わらぬ故郷

白砂青松 恋路ヶ浜よ

雨で煙った灯台明かり

私は浜辺にひとり佇み 思い出辿ります

夏の陽に燥いで走った恋路ヶ浜よ

夏の陽に素足で走った恋路ヶ浜よ

朝焼けの恋路ヶ浜は 母が愛した浜辺

夕焼けに染まる恋路ヶ浜に

母は私を抱きしめ泣いていた

伊良湖岬の灯台 沖に見えるは神島

永久に変わらぬこの浜辺

母の愛した恋路ヶ浜よ

二重に見えた日出の石門(ひいのせきもん)

恋路ヶ浜の塩花は私の涙を流してくれた

儚い恋に生きる辛さを知った十八の秋

いつもと変わらぬ恋路ヶ浜は

潮花が私の涙を優しく拭う

やはりストーリーのない状態でのことば集めはまさに「一盤散沙」です。これでは話になりませんので、やはり短い物語を作りました。(ただこの時点で、漠然とですが、恋路ヶ浜を背景とした母と娘の情愛を意識しておりました)

 物語 白砂青松 恋路ヶ浜よ

私の名前は明香里と申します。私は、幼い頃から慣れ親しんだ恋路ヶ浜の近くに高校生の時まで住んでおりました。

春は菜の花の香りに誘われ、母と日出の石門(ひいのせきもん)から、伊良湖岬の灯台辺りまでを良く散歩しました。神島が左手奥に見え、波と戯れながら歩くと、いつの間にか白亜の灯台「伊良湖岬灯台」が目の前でした。

「この恋路ヶ浜の美しさは、私のおばあちゃんの、そのずぅ~と昔から。そして私、お前、それからいつか生まれて来るお前の子どもや孫の時代になっても、決して変わることはない。恋路ヶ浜の、朝昼夕の波の音、潮や風の香り、朝焼け・夕焼けの金色の輝き、月夜の潮騒。何度来ても、いつ来ても飽きることがない。この地に生まれてこんな幸せなことはない」                                            散歩の度に、母は独り言のように繰り返しました。

夏には、彼と夕方の波打ち際を素足になって走り回った思い出が、強烈に残っています。楽しくて本当に嬉しくて、ああ、今が私にとって最も幸せな青春のひと時なのだと自らに言い聞かせつつ、波の中を走る彼の後を夢中になって追いかけていました。その恋も彼の父親の九州への急な転勤で終息となりました。

コスモスが咲き誇るある秋の日、彼が九州に向かう朝のホームで、私は「また帰って来てね」と小さな声で言いました。列車が見えなくなると溢れる涙で何も見えなくなり、いつまでも立っていました。

初めの頃は、手紙や電話で連絡を取り合いましたが、お互いの環境の変化からでしょうか、その頻度も少しずつ減り、いつしか消えました。時間の経過と共に、あの時の別れの辛さを思い出すこともなくなりました。

私もいつの間にか齢を重ねて、今では二人の孫がいます。娘は他県に嫁ぎましたが、数ヶ月に一度は小学生の孫を連れて顔を見せにやって来ます。その度ごとに、私は娘と孫を散歩に誘い、恋路ヶ浜をいつものように歩きました。日出の石門から伊良湖岬灯台までです。

この白砂青松「恋路ヶ浜」が、未来永劫続くことを私は信じています。孫たちが数十年後に再び、ひ孫や玄孫(やしゃご)とこの浜辺で無邪気にはしゃぐ日が来ることを信じています。「恋路ヶ浜」の美しさを忘れられずに!

もちろん、その時代に私が生きている確率は殆んどゼロに近いでしょうが。

≪あとがき≫

この小さな物語で「恋路ヶ浜」の作詞が完成することが出来るかは分かりません。ですが作詞には、やはり物語があった方が1本芯の通った起承転結がより可能になるように思います。(ハマユウの画像は渥美半島だより様より、また恋路ヶ浜の画像はウィキペディア様から拝借しました)

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