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創作の小部屋「独居老人のひとり言」第7回

2019年03月30日

 「独居老人のひとり言」第7回

先ほど、3月30日(土)午後4時半頃、近くの池に行き、桜の開花の様子を見て来ました。この池は人工池ですが、周りの土手には桜の木が植えられています。もう植えられてから40年以上になります。昨日、今日と肌寒く、ここつくば市の気温は朝から9度にも届かない状況で、桜の蕾も開くのをやめたようです。

さっそく「独居老人のひとり言」をアップさせていただきます。やはり、下書きなしでは、脈絡が揺らぎます。何処に向かおうとしているのか、私自身不安になります。

  「独居老人のひとり言」第7回

第6章 還暦後の就活

私は決して新聞を読むことも読書をすることも嫌いではないが、余りに世間の現実的な事には疎かった。

60才時から私が貰っていたのは、老齢厚生年金と言われるものらしく、65歳にならなければ年金の満額支給は受け取れないということを知ったのは先日だった。パソコンの勉強会の仲間との世間話から初めて知った。私が65歳になれば、今よりずっと支給額が増えるらしい。

妻が生きていればもっと早く知っていたに違いない。妻は年金の仕組みを知識として持っていたかも知れないし、そうでなければ定年時に即座に調べてくれただろうと思う。

とにかく、現実的にその老齢厚生年金とやらでは生活していけない以上、65才になるまで預金を取り崩していき、それでも足りなければ退職金に手を付けなければならない。退職金の使途が決まっている以上、私には働く以外、今の生活を維持していく方法がないということを遅ればせながら知った。

私はさっそくハローワークに出向いた。受付で必要事項を記入し、番号札を貰って、30台くらいある求人募集の見られるパソコンの順番を待った。使い方は、パソコンに慣れた私には簡単だった。

私にも出来そうな仕事をいくつか選んでコピーを取ると、就職を斡旋してくれる係の男性に呼ばれた。白髪が目立つ初老のその男性は、柔和な表情を浮かべて、私のコピーした用紙を受け取った。

私が初めてハローワークに来たことを知ると、採用条件に年齢不問とは書いてはあっても、実際はある程度の年齢層を見込んでいるらしいと教えてくれた。私が渡したコピーに書いてある会社の内容を見ながら、採用担当者に電話を掛けてくれた。採用担当者は、私の年齢を聞くとやんわりと何らかの理由を付けて断っていたようだった。私の選んだ会社はすべて断られた。

私は中卒の還暦を過ぎた老人だ。そう簡単に私を採用してくれる会社はみつかる筈はなかった。私でさえも同じ賃金を支払うなら、覚えが早く、機敏で尚且つ永く働いてくれる、少しでも若い力を求めるのが当然と思った。

私は、今現在置かれている自分の状況を初めて知った。     つづく

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