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課題テーマに挑戦「金沢市」第14回

2020年05月28日

 課題テーマに挑戦「金沢市」第14回

課題テーマに挑戦「金沢市」も今回で14回となります。まだ作詞のイメージは掴めておりません。

今回は思い付きで金沢に纏わる短い物語を創ってみようと思い立ちました。でもストーリーは決まっておりません。本日は仮題「夕香金沢ひとり旅」の第1回目を書いてみました。

   夕香金沢ひとり旅 第1回

第1章 金沢への出発「北陸新幹線かがやき533号」

 北陸新幹線「かがやき533号」は定刻の14時52分丁度に東京駅を滑るように出発した。
夕香は前から3両目の進行方向右側の窓際に腰を下ろしていた。車窓に目をやりながら、これから向かう金沢に思いを馳せた。昔、中学生の頃、家族で紅葉の季節に訪れたことがあった。兼六園の茶店で和菓子を食べた情景が僅かに残っていた。

 ふと記憶が蘇ってきた。-あっ、それから確か松尾芭蕉の句碑があったような気がする- でも、その句碑に何と書かれていたかはどうしても思い出せない。夕香は、携帯電話をバックから取り出し「兼六園 句碑」でネット検索した。
  あかあかと日は難面(つれなく)も秋の風


解説によると、「もう秋だというのに、太陽の光はそんなことは関係がないというふうにあかあかと照らしている。しかし、風はもう秋の涼しさを帯びている」とあった。そうだ、あの日も秋の筈なのに太陽が煌々と私達家族を照らしていた。私の家族とは、母と祖母、それに私の3人である。
 今回、夕香が急に金沢行きを思い立ったのには訳があった。確かに、つい先日それほど親しくもない人から、いきなり「夕香さんは、どこの街が好きですか?」と尋ねられ、つい「金沢が好きです」と答えてしまったことに起因する。だが、東京のある大学の博士課程に進み博士号を取ろうとしている現在まで、思春期の頃から文字通り勉強漬けの毎日であり、ここ数年は論文そして学会発表と多忙を極めていた。

夕香は疲れていた。また、悩んでいた。ひと時でも都会の雑踏から逃れたかった。   (つづく)

      ※アイキャッチ画像は、北陸新幹線「かがやき」です。

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